社会にイイコトしたい

“大バカ小バカ”の法則

2016年2月13日

 

たとえば電車内のマナーひとつとっても、とても常識があるとは思えない行動をとる人は、たくさんいますよね。

さらに大きな問題で言えば、いじめ、環境破壊、不注意による事故死…言葉を選ばずに言えば、大バカ者、と言っていいような行動をとる人はあとを絶ちません。

 

そんな、大バカ者たちの意識と行動を変えうる法則を、今回はご紹介。

“大バカ小バカ”の法則です。

 

 

可愛い、だけじゃない!東京メトロ“こんな人を見た。”シリーズの持つ抑止力とは

 

平成23年4月~平成24年3月まで掲出されていた、東京メトロのマナーポスターをご存知でしょうか?

僕も実際に電車内広告で目にし、とてもいい、と感じた広告のひとつでした。

 

“こんな人を見た。”というタグラインとともに、動物たちの可愛いらしい様子が描かれたマナー啓発のポスターです。

 

 

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2011年度マナーポスター「こんな人を見た。」

 

 

もう耳タコだと思います。

年がら年中おこなわれている、電車内でのマナー啓発。

 

いくら言ってもなおらない人はなおらないもの、と諦めがちになるこの問題ですが、そんな中、この“こんな人を見た。”シリーズは、ひょっとしたら効果的にワークするかも?と思いました。

 

 

なぜか。

 

まず第一に、やはりビジュアルインパクトがあること。

 

通常のマナー啓発は、だいたいが一度は見たことのあるようなありきたりなビジュアル、メッセージで訴求していますから、わざわざ気にも留めませんよね。

意味が全くないとはいいませんが、「一応注意しましたよ」くらいの効果しかないように思います。

 

 

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それと比べ、“こんな人を見た。”シリーズは、マナーの悪い人を、同じような行動を取る動物の写真を比喩的に用いながら、非常にキュートに訴求しています。

 

まず動物の写真をみて、気になって文字を読んでみると、「あぁ、そういうことか」と腑に落ちる。

大半がスルーされる屋外広告において、この数秒間の注意・関心を獲得できるだけのチカラがあります。

 

 

そして、それ以上に重要だと感じるポイント。

それは、“この広告に出てくるような人を小バカにしたくなる”という点。

 

おそらく、この広告を見た多くの人の印象は「あぁ、いるいるこういう人(笑)」だと思うのですが、そうした印象を持ってしまうと、どういうことが起きるのか。

 

たとえば後日、発車ギリギリの電車になんとか飛び乗りたい、と思ってしまう瞬間が来たとして。

ふと、

 

 

 

 

この広告を思い出したとします。

 

すると、この広告に出てくる人を小バカにした人であればあるほど、

「あ、ここで飛び込んだら、あの犬(人)と同類か…」

と思い、電車への飛び乗りをためらうかもしれません。

 

 

ようは、人は“自分が一度は鼻で笑ったことのある〇〇とは、同類に成り下がりたくない”という動機が強く働くので、「マナーの悪い大バカ者を小バカにした」という経験をつくりだすことで、マナー違反の抑止力が働くと思うのです。

 

この原理に着目して、“大バカ小バカ”の法則と名付けてみました。

 

 

こうした訴求方法は、単なる話題作りのためだけの広告ではないからこそ、近年、嘲笑を誘うようなマナー啓発のポスターが増えたように思います。

 

“家でやろう。”シリーズも、同様のメカニズムが組み込まれたマナー啓発ポスターです。

 

 

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大バカ者を、真剣に叱ったり注意したりするのではなく、むしろ小バカにすることで抑止力をつくりだす、というこの方法。

 

上記の事例では、大バカ者=マナーの悪い人、という構図でしたが、他にもいくつか大バカ者を小バカにした事例がありますので、以下ご紹介です。

 

 

 

▼大バカ者=電車等での事故死、を小バカにする歌とキャラクターで大反響 ― “Dumb Ways to Die”

 

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メルボルン地下鉄が実施した、市民の電車事故防止を啓蒙するためのキャンペーン。

 

“Dumb Ways to Die”というタイトルの通り、電車事故で死ぬ、なんて死に方はマヌケですよね、ということを、なんとも言えない脱力した音楽とキャラクターで紹介していきます。

 

 

 

 

再生回数はご覧のとおり、1億回を突破するという、全世界でバズった動画となりました。

 

あくまでバイラルした要因は、音楽そのものの魅力やキャラクターの作りこみにあると思いますが、ここではあくまで“大バカ小バカ”の法則にのっとり、効果の部分に焦点を当てます。

 

人の死を伴う事故を本気で取り組もうとすればするほど、訴求内容も真面目で怖いものになりがちですが、この“Dumb Ways to Die”では徹底的に小バカにする。

だからこそ、多くの人が見やすく、広めやすく、そして共感しやすいアウトプットとなった印象がありますね。

 

 

 

▼大バカ者=大量消費の現代人、を小バカにする動画が描き出す愚かさと怖さ ― “MAN”

 

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ロンドンの絵本作家が制作した、ひとつの動画。

果てしない人間の欲望が、大量生産・大量消費を招き、その犠牲となる生き物や自然。

 

小バカにするようなイラストと演出が、いかに人の行動が愚かなのかを訴えかけます。

あえてリアルな絵を使わないことで、愚かゆえの「怖さ」まで感じますね。

 

 

 

 

 

▼大バカ者=就活自慢、を小バカにする ― “地獄のミサワ×リクナビ”

 

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こちらは「ソーシャルグッド」というわけではありませんが、同様の法則性がある事例なのでご紹介。

日本でも少し話題になりましたが、“ウザい”ことで有名な「地獄のミサワ」とリクナビがタイアップして実施した、広告シリーズ。

 

「こういう人、いるよね〜(笑)」と思うと同時に、「こうならないように気をつけよう…(そのためにリクナビのサービス使ったほうがいい?)」と思わされる、わかりやすい事例だと思います。

 

 

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最後の事例は余計だったかもしれませんが、このように、大バカ者を小バカにしてしまうことで、笑われる側になりたくない!と思わせる“大バカ小バカ”の法則のご紹介でした。

 

いじめ問題や差別問題も、地獄のミサワをつかって小バカにされたら、少しは効果があるのでしょうか。

そんな簡単な問題ではないとは思いますが、社会の空気をつくる上でも、効果的な法則だと思います。

 

 


 

※その他の類似施策は、以下URLにまとまっていますのでご参考ください。

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