自分ゴト化を促したい

“実は似た者同士”の法則

2016年2月12日

 

「自社商品やサービスへの自分ゴト化を促して関心関与を高めたい」という要望に対し、今回ご紹介する法則は、強い威力を発揮すると思います。

 

その内容とは、法則の名前の通り、一見関係のなかったお互いの意外な共通点を発掘するというもの。

“実は似た者同士”の法則をご紹介します。

 

 

捨て犬の里親探しに効果絶大!ペディグリーが実施したその方法とは?

 

ペット用品の総合ブランドであるペディグリーとNECが共同で開発した、“Doggelganger(ドッゲルゲンガー)”という施策。

 

ペディグリーは“犬のためにできるすべてを”を目標に掲げ、数年にわたって捨て犬の問題に取り組んでいました。

その活動の、3年目。今回は、当時2011年の最新IT技術を用いたキャンペーンをニュージーランドで実施しました。

 

その内容とは、自分の顔とそっくりな捨て犬を判定してくれるというもの。

 

ユーザーが自身の顔写真をアップロードすると、目、鼻、口など顔のパーツを詳細に解析して、自分の顔に似ている捨て犬とマッチング。

さらに、その犬を引き取ることや、寄付を行うこともできます。

 

 

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日本でも捨て犬の殺処分が問題となっていますが、正直、捨てられている犬を引き取るモチベーションって、「可哀想だから」以外になかなか湧いてこないイメージが僕個人としてはあります。

 

でも、「自分と似ている犬」と言われると、他人事じゃないように思えて気になりますよね。

 

他人に対してもそうですが、何かしらの共通点を見つけて“実は似た者同士”であることがわかると、途端に親近感が芽生えて距離が縮まります。

その普遍性を上手く活用した、きちんとワークする素敵な事例だと思います。

(里親になる気がなくても、試してみたい、結果をシェアしたい、と思う人が多い、という点でも上手だと思います。)

 

また、仲良しな飼い主と愛犬って、同じ時間を過ごしているからかどんどん似てくる印象もありますが、現に「もっとも幸福な犬と飼い主のペアは、特徴、性格、体型さえ似ている」という研究結果もあるそうで、そうしたファクトも活かしてペディグリーは本施策を実施したようです。

 

出会うまでじゃなく、その後の生活も豊かになる可能性が高い。

この点についてもしっかりフォローできているのが素晴らしいと思います。

 

 

この“実は似た者同士”の法則を、犬ではなく「人」にも活用した事例もあります。

ロシアの慈善財団が実施した、“Twin Souls”という施策。

 

ロシアでは年間約1万5000人の孤児が養子として引き取られるそうですが、うち31%の子が新しい家庭にうまく溶け込めず、養護施設に戻されてしまうそうです。

その主な原因は、「養親と顔が似ていない」ということが引き金になってしまう、という悲しい事実。

 

そこで、先ほどのペディグリーの事例を、人間版に応用です。

養親になりたい人たちに自分の顔写真をウェブサイトにアップしてもらい、顔認証テクノロジーによって、「似た顔」の子供を選び、紹介するという方法をとりました。

 

 

 

 

公開された宣伝用PVは3日間で38万7000人が目にし、ロシアでの養子縁組のリクエスト数は5倍に増えたそうです。

 

 

これまで、「顔が似ている」という共通点から似た者同士を結びつけ、自分ゴト化を促して成果に結びついた事例を紹介してきました。

 

この普遍性を高めるために、以下ではさらに、別の観点から似た者同士を結びつけた事例を簡単にご紹介。

 

 

▼「名前が同じ」という共通点で結ぶ ― “NX David Bailey”

 

 

 

こちらはサムスンのNXというカメラのプロモーション。

プロ級の写真が撮れますよ、ということを訴求するために、プロカメラマンのDavid Baileyさんという方と全く同姓同名の一般人を143人集め、すべての写真の撮影者を「David Bailey」として屋外広告などで発表してしまったという事例です。

 

日本でも、全国の田中さんだけにフォーカスした“田中電子版”という日経新聞の施策がありましたが、切り口としては近しいものがあると思います。

 

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▼「想いが同じ」という共通点で結ぶ ― “Charity Pinky Ring”

 

 

 

次は、公益財団法人ジョイセフと電通ギャルラボが共同で実施する施策から。

 

いま世界には36億人の女の子がいるそうですが、いまだ世界には、不当に性差別を受けたり、余儀なく妊娠・出産を迫られたりする女性が数多く存在しています。

そうした女の子たちを、ひとえに「可哀想だから」とまとめて支援を訴えるのではなく、むしろそんな状況下でも普通に恋をしたり、進学に悩んだりする立派なひとりの「ふつうの女の子」として捉え、同じ想いを持って頑張る女の子同士を応援する取り組み。

 

その応援の象徴として小指にはめる“ピンキーリング”が支援の証であり、支援相手の女の子とお揃いのペアルックにもなります。

 

 

▼「効果が同じ」という共通点で結ぶ ― “きくくすり”

 

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公益財団法人日本フィルハーモニー交響楽団と、株式会社I&S BBDOが共同で開発した「きくくすり(JAPAN PILL-HARMONIC)」という施策。

 

何かと悩みが多く、心が病みがちな現代。

「クラシック離れ」を危惧する交響楽団が目をつけたのは、クラシックは「心にきく」ということ。

そしてそれはある意味で、「くすり」と同じであるということでした。

 

そこで考案されたのは、自身の心理状態に合わせてくすりのように処方できる、クラシックの名曲が入ったマイクロSDカード。

パッケージがまさに、処方薬の袋を想起させるデザインとなっていました。

 

 

 

このように、顔以外にも、名前、想い、効果…様々な観点から共通点を発掘し、「実は似た者同士だよね」と結びつけてしまうことで、強く自分ゴト化を促すような施策を生む可能性を秘めていると思います。

 

 

 

「同じ人間だよね」という当たり前の共通点が、強い感動を生むこともある。

 

最後に、コカコーラが実施した、とても素晴らしい取り組みを。

 

舞台は、長年の紛争がいまだ絶えない敵対国のインドとパキスタン。

ここでコカコーラが実施したのは、両国に自販機を設置して映像をつなぎ、“「手を合わせる」「ピースマークや笑顔を描く」等のミッションを両国同時に行うと、コカコーラがタダで貰える”というもの。

 

“Small World Machines”という施策です。

 

 

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地域紛争。戦争。差別。世界平和。

 

そうした、あまりにも大きすぎる社会問題に対して抜本的な解決策を臨もうとすると、どうしても政治や国家といった巨大な壁が立ちはだかり、行く手を阻まれてしまいます。

 

そうではなく、ただ手を合わせたり、同じマークを描いたりしながら、同じものを得て同じように喜ぶこと。

わたしたち、同じ人間だよね、と当たり前のことをあらためて感じること。

 

そうしたアプローチでも、いや、そうしたアプローチこそ、大きな問題を解決へと傾かせる突破口になるのではないか。

そんなことを思わずにはいられない強さのある、素敵な取り組みだと思います。

 

 

持ち合わせている課題と照らし合わせながら、この“実は似た者同士”の法則を活用すれば、効果的な解決策へとつながるかもしれません。

 

 


 

※その他の類似施策は、以下URLにまとまっていますのでご参考ください。
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