とにかく注目を集めたい

“二面性の対比・可視化”の法則

2016年2月8日

 

当たり前ですが、人は脳みそをひとつしか持ちません。

ゆえに物事の見方も一方向的になり、何かと主観で判断しがちです。

 

そんな人間の感覚を覆して注目を集め、あらためて深く感じ、考えさせるための“二面性の対比・可視化”の法則を今回は取り上げます。

 

 

「もし別の国で生まれていたら?」を可視化した“Lottery of Life”が突きつける世界の実情

 

世界的なNGO、Save the childrenがスウェーデンで行ったキャンペーン。

 

Save the childrenは僕も学生時代、日本支部に所属していたので少し詳しいのですが、この団体は主に世界の子どもを対象に、あらゆる貧困等の社会問題と向き合い、解決に奔走しているNGOになります。

 

しかし、世界の子どもたちの貧困、といっても多くの人が実際に目の当たりにする機会もないため、どうしても想像に欠け、他人事と捉えがち。

 

 

そんな人々の感覚をひっくり返すために、Save the childrenが着目したのは、「人は生まれる場所を選べない」ということでした。

 

つまり、どこで生まれるかは神のみぞ知ることであり、これだけ発達した現代においても、“運悪く”生まれる場所がひどければ、それだけで生活は悲惨なものとなる。

ひとえに運だけで、自分の人生が左右されてしまうのだとしたら?

 

 

そんな発想から生まれたのが、“Lottery of Life”という施策でした。

 

まずWEBサイトが立ち上がり、サイトTOPにはルーレットが置かれています。

 

 

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ログインしてルーレットを回すと、指定された国に応じて、いまも世界で悲惨な状況に置かれている場所へと画面が遷移。

 

飛んだ先々の悲惨な現状を背景に、「あなたも生まれる場所が異なれば、今こんな状況だったかもしれませんよ」という訴求がなされました。

 

このルーレット、世界の人口比をもとに的となる国の大きさが決められていますので、このWEBサイトにアクセスするような裕福な国で育った人は“自分は運が良かっただけだ”ということを実感する仕掛けとなっています。

 

 

 

 

さらにこの施策、端的で且つとても示唆深い訴求がされていたのが、同時期に掲出されていた屋外広告。

 

世界各所に、以下の様な屋外広告が掲出されました。

 

 

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右は、先進国のどこかで、のどかに釣り糸を垂らしている少年。

左は、同い年くらいの子どもが、全く同じアングルで、釣り竿の代わりに銃を持つ姿。

 

「生まれる場所が違えば、今と全く異なる生活をしていたかもしれません」ということを、とてもシンプルかつ強力に訴えかけています。

 

 

その他、川に飛び込んで遊ぶ人も、

 

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キャンプをしてのびのびと過ごす人も。

 

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生まれる場所が違えば、同じようで、全く異なる生活を強いられていたかもしれません。

 

 

冒頭でも述べましたが、人はどうしても、自分の目に直接映らないことへの想像力や実感を持つのは難しく、物事の見方は一方向的になりがちです。

だからこそ、たとえば上記の事例のように、同じ時を生きる同い歳の人たちが似ても似つかない姿で暮らす姿をはっきり可視化され突きつけられると、強い気付きが得られると思います。

 

現実世界では両立し得ませんが、クリエイティブのちからで物事の二面性を無理やりにでも同時に表出させることは、見るものに深い気づきを与え、ショッキングな印象とともに記憶に強く刻みこむことができるのかもしれません。

 

 

別の表現手法で二面性を同時に可視化した例として、たとえば「ソルジャーアートプロジェクト」と呼ばれる、写真家のデヴィン·ミッチェルという方のプロジェクトが当てはまりそうです。

 

ソルジャーアートプロジェクトの写真では、私生活を満喫する兵士が、鏡と向き合う姿が描かれています。

しかし、鏡の向こうに映る自分の姿は、私生活の自分ではなく、まさに兵士としての自分。

 

 

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(他の写真はコチラよりご覧ください。)

 

 

戦争、というものが、たとえ兵士であってもいかにその人を変え、平穏な生活を奪ってしまうかを、ひと味違った印象で訴えかけています。

 

 

少し暗い気持ちになってしまう事例を続けてご紹介してしまいましたが、この“二面性の対比・可視化”の法則、もっとポジティブな印象を鮮やかに伝えるためにも活用が可能です。

 

以下では、また違った切り口の事例をご紹介します。

 

 

 

「過去の自分」と共存する写真アート“Imagine Finding Me”

 

こちらは、大塚千野さんというアーティストの方の作品。

 

この作品では、大塚さんご自身の幼い頃の写真をもとに、現在の自分を合成させて共存させています。

まるでタイムマシンに乗って、過去の自分と一緒に写真を撮っているような不思議な作品です。

 

 

1982年と2005年(フランス)

 

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1981年と2006年(日本)

 

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1982年と2006年(日本)

 

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Chino Otsuka

 

 

いま現在どこかにいる人とではなく、“過去の自分”と同居するという表現は、決して叶わないことであるがゆえの強さがあると思います。

 

「もし、過去の自分と会えるなら、聞きたいことや伝えたいことがたくさんある」という思いで、このような作品をつくられているそうです。

 

 

 

“過去の自分”と今の自分を照らし合わせる、という表現でいえば、最近よく見かけるようになりましたが「過去の写真と全く同じメンバーで同じポーズを撮る」というアイデアが国内外でも見られますね。

 

 

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日本においてのこの表現のはしりはTokyo graffitiの「タイムスリップ写真館」という企画だと思いますが、日用品メーカーのライオンがTokyo graffitiとタイアップしてつくった120周年記念CM “タイムスリップ家族” も、とても素敵です。

 

 

 

 

 

このように、ポジティブな企業コミュニケーションとしても、この法則は活用性を秘めているかもしれません。

 

動画であれ、静止画であれ、強いビジュアルショックを与えられる表現手法だと思います。

 

 


 

※その他の類似施策は、以下URLにまとまっていますのでご参考ください。

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Comments

  1. “後悔先に立たす”の法則|アイデアの補助線

    2016年2月16日 at 7:06 PM

    […] (さらに、“二面性の対比・可視化”の法則も活用することで訴求力を強化しています。) […]

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