商材の価値を再認識させたい

“価値の畳み掛け”の法則

2016年2月2日

 

どんなに斬新なサービスや日常のかけがえのない瞬間であっても、人は“慣れ”を覚えてしまう動物です。

そんな中で、物事の価値をあらためて再認識してもらうことは、想像以上に難しいこと。

 

そこで今回は、全く新しい価値を追加したり価値自体を変更したりせず、物事の価値を再認識させる方法として、“価値の畳み掛け”の法則をご紹介します。

 

 

なぜ、STAトラベルのムービー “MOVE” を観ると気持ちいいのか?

 

 

 

オーストラリアの旅行代理店STAトラベルが、旅行促進のために制作したムービー。

 

1分という短い映像ですので、まずはぜひご覧いただければと思います。

 

 

move1

 

MOVE2

 

MOVE3

 

MOVE4

 

MOVE6

 

 

画面中央奥から、1分間、手前に向かって歩き続ける男性。

その間、軽快な音楽に合わせて、コンマ数秒間隔でオーストラリアの様々な美しい情景が映し出されます。

 

1分とは思えない濃密な時間が流れた後、ふと気がつけば大自然に立ち尽くし、これまでの軌跡を辿るように男性が後ろを振り返って、映像は終了します。

 

 

僕はこの映像を見た時、うまく言語化できない興奮した感情、平たく言ってしまえば感動を覚えて、SNS等を通じて「これは素敵!」と拡散せざるを得ませんでした。

 

 

もちろん、この映像には、音楽と映像を組み合わせた演出の妙があり、そうした部分に感動した側面もあります。

 

しかし、感動を与える最も重要な要素はおそらく、そこではありません。

 

 

 

その要素とは、おそらく、美しい景色や観光客の男性の様子といった旅行を促す様々な魅力的な情報が、“あえて人の情報処理能力を超える速度で畳み掛けられている”というもの。

 

 

 

この動画をもし一度しか観なければ、正直、観終えた時に覚えている景色や観光客の様子は、ごく一部に限られると思います。

 

これ、冷静に考えると、結構すごいことがわかります。

なぜなら、観光地の魅力を伝える映像なのに、観終えた時に「ほとんど覚えていない」ことを、あえて狙っているからです。

 

通常、そのような目的でつくられた映像ならば、美しい風景やそこで楽しむ人たちの様子を観る者に刻みつけるために、一定の尺をつかってしっかりと描いて伝えます。

(極端かもしれませんが、よくNHKで紹介されるような観光地の映像を思い浮かべていただければ、よりわかりやすいかもしれません。)

 

しかし、よくよく映像を目にする人の気持ちに立つと、なんとなく知っている観光地の様子が、どこかで見たことのあるような映像で紹介されていても、「あぁ、ここはだいたいこんな感じだよね」と思ってしまい、真剣に観るのをやめてしまう。

 

 

その点、“MOVE”では、見たこともない美しい景色が圧倒的な速度で次々に畳み掛けられますから、情報処理能力が追いつかずにパンクしてしまいます。

 

そして、その“感情のパンク”こそが、人には伝えずにいられないような“興奮”や“感動”の正体なのではないでしょうか。

 

 

何より素晴らしいと思うのが、オーストラリアがもともと持っている価値だけを用いて、映像を観る者に、その価値を再認識させるに至っているということ。

 

むやみに別の価値をつくりだす等して注意を引き付けるのではなく、既存の価値の魅せ方、描き方ひとつで興奮や感動を与えることに成功しています。

 

なお、この“MOVE”シリーズは、同様の手法で“EAT”“LEARN”シリーズも展開しています。

 

 

EAT from Rick Mereki on Vimeo.

 

LEARN from Rick Mereki on Vimeo.

 

 

どれも素敵ですね。

 

 

さらに下記では、この“価値の畳み掛け”の法則を活用した別の映像事例も簡単に紹介していきます。

 

 

 

▼商品のある1日を畳み掛ける“Culumi Nakada – Nikefuel Life”

 

 

(youtubeに動画がupされておらず、変なところから引っ張ってきたので重いです…すみません)

 

 

こちらはNIKE FUELBANDのWEBムービーとして制作された映像。

 

NIKE FUELBANDがあると、生活はどのように変わるのか?ということを、端的に説明しようとせず、あえて一人の女性の生活の様子を丁寧に掘り下げ、次々と映し出して説明していきます。

 

これでもか、というくらい活発な活動が、NIKE FUELBANDによってさらに活発になるような読後感は、商品の見えにくかった魅力をエモーショナルに伝えることに成功していると思います。

 

 

 

▼アドレナリン大放出の情景を畳み掛ける“everything you need is allready inside

 

 

 

またもやNIKEの事例を引っ張ってきてしまいましたが、運動競技の興奮を存分に伝えるスポーツブランドであればよく見られる演出だと思います。

 

アドレナリンが出るような映像を力強い音楽に乗せて、畳み掛ける。

 

コピーの“everything you need is allready inside”(勝つためのぜんぶは、もうキミの中にある)が、最高にカッコいいですね。

 

 

 


 

※その他の類似施策は、以下URLにまとまっていますのでご参考ください。

アイデアの補助線(Pinterest)|価値の畳み掛け の法則

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