好感度・ロイヤルティを高めたい

“神対応”の法則

2016年4月15日

 

ベッキー不倫騒動やSMAPの謝罪会見、日清CMの中止報道…

近年、企業やタレントの不祥事や過剰表現に対して、生活者の目は非常に厳しくなってきています。

 

つまり、いわゆるリスクマネジメント、企業の適切な対応能力が求められる時代。

そんな中、ヘタすればバッシングや嘲笑につながるような出来事を、むしろ追い風にして賞賛を集める“神対応”なる対応を実現した例もあります。

 

今回は、そんな向かい風を追い風に変えて顧客からの好感度を獲得する“神対応”の法則を取り上げます。

 

 

 

[Chapter1] 事例から法則を読み解く

なぜ赤城乳業は、ガリガリ君の値上げで“賞賛”されたのか?

 

最近、良い意味で話題となった謝罪対応に、赤城乳業の「ガリガリ君の値上げ謝罪」があります。

以下、目にした方も多いのではないでしょうか。

 

 

garigari

 

 

 

ガリガリ君が発売されたのは1981年、当時の価格は50円でした。

1991年に10円値上げし60円で販売、以降これまで25年間価格は据え置かれていましたが、2016年4月1日に10円値上げの70円(税別)を決断しました。

 

 

昨今、庶民の味方と思っていたマクドナルドの値上げをはじめ、コンビニの各種アイスもいつの間にか平均価格帯は150円前後に。

そういう風潮は、もう不可逆的なもので、だから諦め半分に当たり前と受け止めていた気がします。

 

そんな中、ガリガリ君だけは、いつも60円。

僕はいち消費者として(そしておそらくみなさんも)、「むしろ大丈夫なのか」と心配したくなる価格設定でした。

 

そのガリガリ君が、ついに値上げに…

原材料費の高騰や物価の値上がりを考えれば仕方のないことですが、このニュースが単なるニュースリリースなどの文字情報だけで発表されたものであれば、「ついに赤城乳業も降参か…」と残念な気持ちが募っておしまい、だったに違いありません。

 

 

そんな時に、たった10円の値上げに対し、社員総出で、しかもCMと新聞で、深々と謝罪です。

謝罪に要した企業コストは、数千万は下らないはずです。

 

 

「たったこれだけのことに、ここまでするのか、赤城乳業さん…!」

 

 

私たちの気持ちは、一気に、赤城乳業を賞賛して応援するムードに。

筆者もこのCMを観た後、応援の気持ちを込めてコンビニでガリガリ君を買ってしまいました。

 

 

ネット上の文脈ではいわゆる“神対応”と呼ばれ、愛される対応方法ですが、「ほんの小さな悪い芽に対し、やり過ぎなくらい誠心誠意謝る」というのは、普段いかに企業が誠実に顧客と向き合っているかを表明し、それにより好感度アップに繋がる方法として、とても効果的だと考えられます。

 

また、もともと赤城乳業は、「ネットで愛されている企業」というバックグラウンドを持っていたことも見逃せません。

 

 

※以下、本論と逸れますので、かい摘んで解説しますが…

 

ネットとはそもそも「社会的立場の弱い国民」が、技術ひとつで対等に世の中と向き合い、自由に意見を発することができる領地、という系譜・文脈が存在します。

なので、ビジネス最優先ですぐに値上げしてしまったマクドナルド等は「敵」として嫌われてますので、何をしても一定の反対意見が表出してしまいます。

逆に、赤城乳業やペヤングなど、常に社会的弱者に寄り添い「味方」として存在してきた企業・商品は、何をしても愛され擁護されやすい、という傾向があります。

現に、様々なバイラル系メディアの記事でも決まって、これらの愛され企業は些細なことでも記事化されます。支持層が厚いがゆえに、十分なアクセス数が見込めるからです。

 

 

このようなバックグラウンドの中で、今回の「やりすぎな」謝罪を行うことは、むしろ賞賛・好感に繋がりやすかったというわけです。

 

 

 

もうひとつ、バッシングに対する“神対応”を実践した例をご紹介しましょう。

今度はアメリカのクラッカーブランド「Honey Maid」から。

 

 

2014年3月10日、Honey Maidは「This is Wholesome(これが健全だ)」と題したテレビCMの放映を開始しました。

 

 

 

 

このCMでは、「Honey Maidのクラッカーは、全ての健全な家族の毎日の健康を支えるスナックである」というメッセージを訴求するために、現代の象徴的な家族とも言える“ゲイカップルの家族”“異人種カップルの家族”“父親が全身タトゥーを入れているロックな家族”などを取り上げました。

 

 

h1

 

h3

 

 

しかしこのCMに対して、肯定的な意見だけでなく、“全く健全な家族じゃない、最悪だ”、“認められない”、“気持ち悪い”などの否定的な意見が相当数投稿されたそうです。

 

 

この状況を受け、Honey Maidはどのような対応をしたか?

日本企業だと、即座に謝罪会見を開いたりお詫びのFAXを送ったりしそうなものですが…

 

 

Honey Maidは、SNSにあふれた賛否両方の投稿を用いて、ある一つのアート作品を制作しました。

 

作品を手掛けたのは、2人のアーティスト。

まずは、否定的な投稿を一件ずつプリントアウトし、それを一枚ずつ丸めて筒状になった投稿を貼り合わせていきます。

 

 

h5

 

h6

 

h7

 

 

そうして出来上がったのは、「LOVE」という文字。

 

 

h9

 

 

続いて、否定的な投稿に比べて約10倍もの数に上るという肯定的な投稿も、先ほどと同様、一枚ずつプリントアウトし、筒状に丸めます。

そして先ほど作った「LOVE」という文字の周りを取り囲むように、筒を配置していきました。

 

 

h11

 

h13

 

 

 

否定的な投稿でできた「LOVE」を、肯定的な投稿が包み込むような仕上がり。

 

“形はどうであれ、愛があれば家族である”という解答を、圧倒的な肯定的な意見で否定的な意見を包み込む、という表現で表したんですね。

 

 

企業のこの粋な“神対応”に称賛の声が集まり、論争はポジティブな方向に決着したといいます。

日本企業では考えられない対応ですね笑

 

 

 

先ほどの赤城乳業の「ほんの小さな悪い芽に対し、やり過ぎなくらい誠心誠意謝る」というやり方だけでなく、「否定的意見・状況を、圧倒的な正論と寛容な態度=愛で包み込む」といった対応も、神対応のひとつとして成立します。

その中に、どこかしら顧客愛ユーモアを感じさせるのも大切ですね。

 

そして、全ての神対応の根底として必須なのは、迅速な対応です。

消費者はそこまで待ってくれませんから、「対応が遅い」だけで批難の対象となってしまいます。

 

 

これらのポイントをしっかり守った上で、迅速かつ的確に置かれた状況を把握し、打ち手を考える。

難しいですが、いざというときに頭の片隅に置いておきたい法則です。

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>>>

[ “神対応”の法則|Point ]

「迅速かつ的確に状況を把握」し、打ち手を考え実行する

「誠心誠意」「寛容な態度」で否定的意見に対応する(ひっくり返す)

企業イメージに考慮しながら「顧客愛」「ユーモア」を大切にする

>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 

以降では、この法則を念頭に置きながら、活用イメージをさらに深めていきます。

 

 

 

[Chapter2] 法則から事例を読み解く

テレビ番組で「ネタにされた」店舗の事後対応が素晴らしい。

 

これまでご紹介した事例は、「リスクマネジメント」にまつわる“神対応”事例でした。

以下では、また違った“神対応”の事例を取り上げます。

 

 

カリフォルニア発のスムージーチェーンに、「ジャンバ・ジュース」という企業をご存知でしょうか。

最近話題の新鮮なフルーツやジュースとともに、ビタミンやプロテインなどもお好みで加えて飲める、今アメリカで流行りの人気店です。

 

2016年2月18日、この「ジャンバ・ジュース」のとある店舗に、いまイギリスでは大人気女性歌手のアデルが来店するというサプライズがありました。

 

実はこれ、アメリカの人気トーク番組「Ellen DeGeneres Show(エレンの部屋)」によるドッキリ企画。

番組のゲストとして出演したアデルがジャンバ・ジュースを訪れ、耳に着けたイヤフォンでスタジオにいる司会者のエレン・デジェネレスの指示を受けながら、意味不明な会話を店員に仕掛けるという内容でした。

 

 

Swishy-Chug03

 

Swishy-Chug02

 

Swishy-Chug01

 

 

「イギリスにもスムージーと同じようなものがあるんだけど、スウィッシーチャグっていうの。ジャガイモとビーツが入っていて、とても人気があるのよ。」

(実際にはこんなドリンクはありません)

 

 

意味不明なアデルの発言に困惑する店員の姿が映し出され、スタジオは大爆笑だったといいます。

 

 

番組はこれで終わりだったのですが、特筆すべきはその後のジャンバ・ジュースの“神対応”でした。

彼らは一体、どのような対応をとったのでしょうか?

 

 

実は、番組が放送されるなや否や、なんとアデルが適当に口にした『スウィッシーチャグ』なるジュースの特設サイトを、番組が放送された日のうちに公開してしまったのです。

 

 

Swishy-Chug07

 

 

サイトでは、『イギリスではこんなドリンクが流行中。でもアメリカではやっぱりジャンバジュース!』というキャッチコピーと共に、スウィッシーチャグを作る様子を収めた映像、そして店舗で使える割引クーポンも掲載。

 

 

 

 

まさに「ここまでやるか!」という、愛とユーモア溢れる“神対応”を迅速に実行しました。

 

ツイッターにもスウィッシーチャグのトピックを立ち上げると、番組の人気と相まって話題騒然。

1,200回ものメディア露出を獲得するなど、非常に大きな注目を集めて売り上げを30%も押し上げることに成功したそうです。

 

 

お手本にしたい、“神対応”の事例ですね。

 

このような対応が日本でも増えてくると、もっと面白くなるのになぁと思います。

 

 

※今回の[Chapter3] ブレスト・トライアルは、活用事例の例示が難しいのでお休みとさせてください。

 

 


 

※その他の類似施策は、以下URLにまとまっていますのでご参考ください。

アイデアの補助線(Pinterest)| 神対応 の法則

 

※記事の更新情報は、Facebookページにて随時配信中です。ぜひチェックしてみてください。

アイデアの補助線(Facebookページ)

1