社会にイイコトしたい

“絶滅カウントダウン”の法則

2016年4月11日

 

様々な社会問題のうち、そのまま放置していると、本当に取り返しのつかなくなってしまう問題もあります。

 

そんな状況を可視化し、取り返しのつかなくなるまでをカウントダウンしていくことで、問題の危機感と解決への焦燥感を煽る“絶滅カウントダウン”の法則を今回は取り上げます。

 

 

 

[Chapter1] 事例から法則を読み解く

地球最後の日に備えて“全ての種子”を保管する「種子の方舟」が頼もしい。

 

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ノルウェー領スヴァールバル諸島、というところに位置する最大の島であるスピッツベルゲン島に建設されている、とてもユニークな銀行があります。

 

それは、スヴァールバル世界種子貯蔵庫(SGSV)。

通称「種子の方舟」とも呼ばれる“種子銀行”とは、植物の種子が失われてしまった場合に備えて種子を保存する施設または組織の事を指し、あのビル・ゲイツが主導で行われている事業でもあります。

 

 

なぜこのような事業が行われているのかというと、薄々お察しの通り、人間がこの地球で経済活動を始めてからというものの、温暖化をはじめとした異常気象や核兵器の使用等による地球汚染が進みすぎ、「植物の種子」もまた存続の危機に晒されているためです。

 

また、世界各国の宗教には共通して「最後の審判」、つまりいつか世界の終わりに人々が裁かれる日が来るという考え方も根付いているとあって、「貴重な生命の源=植物の種子を失うわけにはいかない」という想いから、このような取り組みへと繋がっているというわけです。

 

 

Tunnel, Svalbard Global Seed Vault

 

 

この種子の方舟は、温度変動と海水面上昇の影響を受けにくくなっているだけでなく、テロ攻撃にも耐えられる強度で設計されています。

 

最大300万種の種子を保存可能とされる地下貯蔵庫では、温度が摂氏マイナス18~20度に保たれ、万が一、冷却装置が故障した場合にも永久凍土層によってマイナス4度を維持できる環境に置かれているそうです。

 

 

Seed Deposits, Svalbard Global Seed Vault (2010)

 

Nordic Genetic Resource Center Seed Vials, Svalbard Global Seed

 

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とても頼もしい存在だと思います。

 

 

「地球最後の日に備えて」「種子を保存する」というこの事業、種子ではなく「動物」を扱ったものであれば、きっと誰もが知っている言葉が浮かび上がってくるかと思います。

 

そう、それは、「絶滅危惧種の保護」

WWFをはじめ、様々な団体が、「絶滅危惧種の保護」に向けて活動を展開しています。

 

 

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(こちら、リンクバナーではなくただの画像です。紛らわしくてすみません笑)

 

 

 

「種子の方舟」と、「絶滅危惧種の保護」。

 

この2つの取り組みに共通しているのは、「このままでは絶滅する(つまり、完全に失われてしまう)命」に焦点を当てながら、刻一刻と、絶滅に向けて時計の針が進んでいることを可視化している、ということ。

それゆえに、この事実を知った人を「失わせるものか」と強く動かす作用が働いている、ということ。

 

その結果として、地球規模での地下貯蔵庫での冷凍保存や、安全区域での保護などの解決行動が生まれています。

 

(「絶滅危惧種」とすることで、かえって希少価値が明らかとなり乱獲対象になる、といった反対意見もありますが、そもそも「絶滅危惧種」という言葉がなければ、誰にも知られずさらに多くの生き物が絶滅していたことは間違いないでしょう。)

 

 

「持っている(大切な)ものを失ってしまう」ことに対して、人は強い拒絶反応を示すものです。

それが、“永遠に”失われてしまう取り返しのつかないことなのだとしたら、なおさらのこと。

 

共通点のある社会課題(シャッター商店街、市町村合併などなど)と向き合う際には、活用しやすい法則だと思います。

 

 

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[ “絶滅カウントダウン”の法則|Point ]

「大切なモノが失われていく様」を可視化する

「今この瞬間も刻一刻と失われている」ことをカウントダウンして煽る

シンプルな「保存・保護」「反対・反撃」などの解決行動もセットで呈示して行動を促す

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以降では、この法則を念頭に置きながら、活用イメージをさらに深めていきます。

 

 

 

[Chapter2] 法則から事例を読み解く

風化していく「戦争の当事者の気持ち」を後世に語り継ぐには?

 

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元零戦パイロット、平和のため戦争語る インタビュー より写真抜粋

 

 

第二次世界大戦後から、随分と時間が流れました。

 

当時を生き抜いた人の数も限られてきており、あらためて、悲惨な戦争を経験している人の気持ちをどう後世に語り継いでいくかが、日本だけでなく世界各国でも問題視され始めていています。

 

 

ですが、その一方で。

 

上記のようなインタビュー画像(あるいは映像)を通した「戦争の悲惨さの訴え」は、そうした番組特集は何度も組まれているので、率直なところ“見飽きている”“既視感がある”人も多いのではないでしょうか。

 

 

そうした中で、“絶滅カウントダウン”の法則を活用して、戦争にまつわる大切な何かが失われている様を可視化して注目を再喚起することはできないでしょうか。

 

 

 

次にご紹介する事例は、第二次世界大戦中、旧ソ連で2,500万人もの命を奪ったという「大祖国戦争」の風化を食い止めるために、Googleが実施したプロジェクト。

 

Googleが目をつけたのは、戦時中、前線の兵士たちが家族に宛てた手紙でした。

1,418日間も続いた戦いの際中にやり取りされた手紙は、なんと60億通にも上ったといわれています。

 

現在、手紙は家族が各々保管しているそうですが、月日の流れと共に日光、湿度、寒さの影響を受けて手紙は劣化してしまい、あと5年もすれば判読不可能な状態にまでなってしまうそうです。

 

 

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そこでGoogleは、それら手紙をネット上にアップロードし、インターネット上で保管。

多くの人と戦争の記憶を共有できるプロジェクト、その名も“Alive Memory”を立ち上げました。

 

以下がそのサイトのキャプチャ画像。

ボタン一つで手紙をアップロードすることができ、アーカイブされた手紙は、年代順、送信者・受信者名などで検索することが出来るほか、前線から家族の元まで手紙が歩んだ道のりを調べることもできます。

 

 

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この取り組みはかなり大規模にメディア展開されたようで、ミュージシャン、俳優、政治家等著名人が手紙を朗読する試みも実施され、手紙は目で読むだけでなく、耳で聞くこともできます。

 

アーカイブされた手紙を、音楽、絵画、ダンス、展示、詩、パフォーマンス、写真などあらゆる芸術で表現するという取り組みも同時に行われ、このプロジェクトは瞬く間にメディアの関心を集めることに成功し、社会現象となったそうです。

 

 

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Alive Memory | Google from Friends Moscow on Vimeo.

 

 

 

とても素晴らしい取り組みだと思いますが、このプロジェクトの出発点となっているのは「このままでは戦争当時の手紙がなくなってしまう」という危機感、焦燥感

さらに、それを「ネット上にアーカイブする」というシンプルな解決行動の呈示により、多くの人が行動を起こしやすい基盤ができていました。

 

社会現象化にまで至ったのは「様々な著名人やアーティストをうまく巻き込めた」ことが決定的な要因ですが、それも、この企画構造がシンプルで強いものだったからではないでしょうか。

 

 

 

[Chapter3] ブレスト・トライアル

Instagramに大量アップされる「桜」の写真を見て思うこと。

 

最近ふと思いついたことが、この法則に当てはまっていましたので、雑談気分で書き起こしてみます。

 

instagramを見ていると、本当に桜の写真が多いなぁ、と思っていまして。

 

 

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この記事の執筆時点で、#桜 の投稿件数だけでも200万件以上。

自分のタイムラインをいつ開いても、桜の写真が流れてくるなぁという印象がありました。

 

春になりたての頃は「キレイだなぁ」と思っていましたが、そのうち感想は「またか」に変わり、終いには「もうお腹いっぱいだよ」なんて気分に。

 

 

でも、もう4月中旬に差し掛かり、だいぶ暖かくなってきました。

桜も、ピンクの中に新緑のグリーンが混ざり込み、葉桜に。

 

 

すると…季節の移ろいを感じるうちに、「春ももう終わりかなぁ」なんて、なんだか急に寂しさが込み上げてきたんですね。

 

春も桜も、絶滅してしまうわけでもなく、来年またやってくるのですが、その「寂しさ」は誰しもがひっそりと抱く感情なのかも、と思いました。

 

 

「桜が散ってなくなってしまう」という、不可逆的な、儚さ。寂しさ。

もし、そんな心情を唄うアーティストさんがいらっしゃるのなら、こんなPVを撮りたいなと思いました。

 

 

 

みんなが投稿する「桜」の写真を地上10mから自動プリントして、桜の花びらのようにひらひら舞い落とす。その下で、アーティストが「春の終わり」を唄い上げる。

 

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(下の写真は暗いですが、イメージはこんな感じです。)

 

 

ひらひらと舞い落ちる写真は、そのアーティストのファンが投稿した写真を使うことで、ファンも嬉しいのではないでしょうか。

(つまり、 “権威の開放・私物化”の法則 をちゃっかり活用してしまおうということです。)

 

なんとなく、ですが、美しい映像が撮れるのではないかなと思いました。

 

 

最後、本当に雑談のようなアイデアで、すみません。苦笑

 


 

※その他の類似施策は、以下URLにまとまっていますのでご参考ください。

アイデアの補助線(Pinterest)| 絶滅カウントダウン の法則

 

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