社会にイイコトしたい

“ペイ・フォワード”の法則

2016年3月28日

 

性善説と、性悪説。

世の中には大きく二つの“人の心”に対する見方がありますが、きっと二元論ではなくグラデーションで、どちらの心も持っているのが人間ですよね。

 

今回ご紹介する法則は、そんな人の“善意”を最大限に信じ、託し、広げるような方法です。

“ペイ・フォワード”の法則を取り上げます。

 

 

 

[Chapter 1] 事例から法則を読み解く

映画『ペイ・フォワード』が提唱する可能性と、その発動条件。

 

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こちらの映画を既にご覧になられた方であれば、今回取り上げる法則の意味性を、瞬時に理解されるかと思います。

 

『ペイ・フォワード』という映画なのですが、まずは概要を以下、簡単にご紹介します。

 

 

「ディープ・インパクト」のミミ・レダー監督、「アメリカン・ビューティー」のK・スペイシー、「恋愛小説家」のH・ハント、「シックス・センス」のH・J・オスメント共演で描くハート・ウォーミング・ストーリー。中学1年生になった最初の日、社会科のシモネット先生が出した課題は“この世の中を良くするためには何をしたらいい?”というもの。そして、トレバー少年が思いついた方法は“ペイ・フォワード”――人から受けた好意を別の人へ回す――というものだった……。

 

 

『ペイフォワード』とはこの映画を発端とし、広まった概念です。

日本語的には「恩送り」が近しい語訳でしょうか。

 

自分が受けた他人からの善意を、もらった人にではなく、別の他者に返すという考え方。

 

 

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この考え方、現実世界では物珍しい現象かというと決してそんなことはなくて、最も身近な例で言えば、「先輩に食事を奢ってもらったお礼は、自分の後輩に返す」という文化が日本にはあります。

部活動や社会人生活の中で、よく見られる光景ですよね。

 

 

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筆者個人としては、とてもとても好きな考え方です。

 

本当にこの原理が世界に浸透していれば、それだけで、本当に世の中は少しずつ良くなると感じます。

 

 

ただし、その一方で、現実はそんなに甘くはないというか。

そんな行為ばかりではかえって気持ちが悪い、というのもありますが、そうはいってももう少し、こうした“人の優しさの伝播”はあっていいのではないかと思います。

 

翻せば、この『ペイフォワード』には、一定の発動条件があると考えられます。

 

 

現実世界での現象を見てみましょう。

 

例えば、日本ではたまに、こんな現象が起きたりしています。

 

 

大学生協がポッキーを予想の10倍も誤発注→学生がすべて買い切るドラマが生まれる

 

助けて!誤発注で店内がおむすびだらけにとツイート後見事完売!

 

 

お店が誤って大量発注してしまった品々を、みんなで買ってあげようとする動き。

一部では「誤発注マーケティング」と揶揄して非難する声もあり、事実どこまで本当なのかは調べようもありませんが…

 

少なくとも、誰かの“(不可抗力で起きた)悲痛の叫び”に対し、みんなで善行に及びたくなるというケースは多々見られます。

 

 

 

あるいは、海外では、こんな社会実験が行われました。

 

 

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実験材料は、こちらの画像。

 

この画像を携帯にダウンロードして、スターバックスのレジでスキャンすると、無料でコーヒーを飲むことができます。

 

仕掛け人は、Jonathan Starkという方。

彼は、この“自分のお金をチャージした”スターバックスカードのバーコード画像を、なんとオンライン上で公開して誰でも使用できるようにしてしまいました。

 

 

結果はどうだったか。

 

なんと驚くべきことに、一ヶ月間経過した後も、カードにはお金が残っていたそうです。

 

 

Jonathanは、モバイル通貨(どのようにお金を転送したり、所持している携帯電話で商品の支払いを行うのか)を研究していたそうです。

 

彼はスターバックスカードに、50ドルをチャージしてバーコードを公開しました。

しかしその後はお金は減らず、みんな使った分だけチャージし始めるという現象が起きたのです。

 

 

なぜこのようなことが起きたのかを調べていくと、「Jonathanのカードでコーヒーを購入する」という体験が、特別な経験となっていたことがわかりました。

つまり、「他人のお金で飲むフラペチーノは、普段自分のお金でそうするよりも価値があるものに感じられる」といった現象が起きていたのです。

 

またJonathanは、定期的にカードの残高をツイートするという簡単なプログラムを施していました。

ですので、他の人もこの不思議な現象に気づき、気がつけば、「他人のお金でスタバを飲んだ後は、同じ以上の金額をチャージし直す」という行動様式が、この実験に参加する暗黙のルールとして広まっていたと推察されます。

 

 

結果、この実験が行われた2日間で、3,664.24ドルものお金がやりとりされたそうです。

 

 

あくまで結果論でしかありませんが、この現象から、『ペイフォワード』が発動する別の条件が垣間見えます。

 

それは、“嬉しい悲鳴ならあげたいし、誰かにあげさせたい”という欲求。

そして、“自分のところでこの連鎖を終わらせてはいけない”という使命感です。

 

ようは、ものすごくポジティブなチェーンメール的な要素が大切になるのではないでしょうか。

 

 

上記述べてきたいくつかの発動条件を満たせれば、この幸せの連鎖は、ある程度意図的にデザインできるのではないでしょうか。

 

とはいっても、不確実な要素を多分に孕みますので、あくまで社会実験的に、プラスアルファの要素として、アイデアに組み込むのがいいと思います。

 

 

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[ “ペイ・フォワード”の法則|Point ]

善い行いを「自発的に広めたくなる」仕掛けを施せないか考える

「悲痛の叫び」「嬉しい悲鳴」を可視化できると、広がるエンジンになる

「連鎖を自分のところで終わらせたくない」と気づかせる仕掛けも考慮

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以降では、この法則を念頭に置きながら、活用イメージを深めていきます。

 

 

 

[Chapter 2] 法則から事例を読み解く

チョコレートショップが無料サンプリング×ペイフォワードで大盛況!その方法とは?

 

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なかなか企業活動でこの『ペイ・フォワード』を活用した事例は見たことがなかったのですが、そんな中、デンマークの老舗チョコレートブランド「Anthon Berg」が手掛けた無料サンプリングが素敵でしたので、ご紹介。

 

店舗のオープンに合わせて商品を無料サンプリング、という施策はどこの店舗でも実施していそうですが、Anthon Bergは一味違いました。

 

 

企画のコンセプトは、お金やクレジットカードではなく、『大切な人への親切な行い』を約束すること。

 

 

ここまでヒントを聞けば、なんとなく、このブランドが実施したプロモーションを想像できるのではないでしょうか?

 

 

オープン当日、店内に陳列されている全ての商品の値札には、価格の代わりに30種類以上の様々な「親切な行い」が記載されていました。

例えば、「ガールフレンドの運転に1週間ケチをつけない」、「愛する人のベッドサイドに朝食を持っていく」、「1ヵ月間女友達の陰口を言わない」、「友達の家の掃除を手伝う」などがそうです。

 

 

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そしてレジでは、商品を手に入れるために、iPadを使った特別な“支払い”が要求されます。

 

それは、お客さん自身が選んだ商品の値札に書かれている「親切な行い」を、実際に誰かに施すという約束を交わすということ。

レジにて「親切な行い」を実行する相手をFacebookから自由に選んでもらい、その行いを“必ず実施する”というメッセージ(約束)を、Facebookで相手に送ることで支払いが完了する仕掛けとなっていました。

 

 

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当日は大盛況で長蛇の列ができ、またSNSでは、「親切な行い」の約束だけでなく、それを実際に行った模様や、それに対して感動した第三者からのポジティブなメッセージで溢れ返ったそうです。

 

 

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先にまとめた、 “ペイ・フォワード”の法則のPointを上手く活用できているのがわかるかと思います。

 

さらに、しいていえば、「チョコレート」「バレンタインなどの時節性」といった、もともと人の善意が高まりやすい商品性やシーズナリティをも味方につけると、ペイ・フォワードは上手く機能しそうですね。

 

 

 

[Chapter 3] ブレスト・トライアル

良い言葉ではなく“善い行い”をリツイートする仕組みは可能か?

 

よく、偉人の名言や個人の格言がリツイートされ、広まったりしますよね。

 

常々思うのですが、これを行動に置き換えて、“善い行い”をリツイートするような文化ってつくれないものでしょうか?

 

 

それは何も、高尚なものでなくていいと思うのです。

 

たとえば、ある日Twitterを見ていたら、こんな記事を目にしました。

 

 

惚れてまうやろ!みんなのまわりのイケメンの男前すぎるエピソード 8選

 

 

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これを見た筆者は、「よし、これ、可愛い子の前で真似したろ…!」と下心満載で思うわけです笑。

 

 

だけれど。

 

こうした、いわゆる「イケメンな(=善い)行い」が広まることって、決して悪ではないと思うのです。

それによって確実に、世の中にハッピーな出来事が増えるのですから。

 

 

他にもたとえば、筆者が勤める会社の伝説的な営業のエピソードで、こんなものがありました。

 

 

とあるクライアントの接待で「1日お付き人」をした営業がいて、クライアントがあれこれ買い物をするのにも、いちいち同行しました。そしてもちろん、クライアントが買い物中は、悩んだ挙句に買うのを諦めた品々もありました。そこでこの営業は、こっそり裏で「買うのを諦めた品々」をすべてメモしておき、クライアントが売り場を立ち去った後で、メモした品々をすべて購入。

そしてその日、解散する際に、こっそり買っておいた品々をクライアントにプレゼントしたら、たいそう喜ばれて信頼を勝ち取りました。

 

 

この話を聞いて「これはヤバい!」と思った筆者は、自分の姉の誕生日に、同じことを実践したんですね笑。

 

姉の買い物に何気なく付いて回り、手に取ったものの買うのを諦めた品々をすべてメモし、後でこっそりすべて購入。

そしてその夜、誕生日会の際にまとめてプレゼントしたら、なんと嬉し涙を流すくらい喜んでくれました。

 

 

これはきっと、その伝説的な営業さんがもたらした、一種の『ペイ・フォワード』だとも思います。

もっとみんな真似して、色んな人が幸せになってしまえばいいと思います。

 

 

なので、であれば。

 

 

・秘密結社『ペイ・フォワード』なるWEBサイトを構築

・個人が自由に「これは自分、イケメンすぎた!」という善行を投稿

・誰もが真似でき、真似したら一言「パクらせていただきました!ありがとうございます!!」とコメントするのがルール

・なお、パクられまくってるアイデアは、専用SNSアカウントから逐一紹介する

 

 

といった仕組みをつくるのはどうでしょう。

 

面白半分でも、善行を投稿し競争する人も出てくれば、それをこっそり覗き見てパクりたがる人もいるでしょう。

このサイトが上手く回れば、男子(に限らず女子)がみんなイケメンな行動をとりますし、それを受け取る女子(に限らず男子)はハッピーな気持ちになる機会が増えるかもしれません。

 

 

ちょっと、妄想じみた、人の善意を信頼し過ぎなアイデアかもしれません。

 

でも、人のそうした部分を確かに信じて、プランニングをしていきたいと筆者は思っています。

 

 


 

※その他の類似施策は、以下URLにまとまっていますのでご参考ください。

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