多くの人に参加してもらいたい

“乗っ取りジャック”の法則

2016年3月20日

 

前回の「参加意欲・行動の喚起」カテゴリの記事では、「自分が関与できるできるわけない」と思っていた“権威”を開放し、私物化するチャンスを与えることで、人に参加意欲を掻き立て、行動を促す強い力が発揮できる“権威の開放・私物化”の法則をご紹介しました。

 

今回の法則は、それとは似て非なるものになります。

参加しやすいよう開放されていない“権威”に対し、様々な方法で乗っ取り、ハックすることで興奮を掻き立てる“乗っ取りジャック”の法則です。

 

 

 

[Chapter 1] 事例から法則を読み解く

「影」で街をジャックした“BIG SHADOW PROJECT”になぜ興奮するのか。

 

bluedragon

 

 

「BLUE DRAGON」というゲームをご存知でしょうか?

 

Xbox 360™専用ソフトのゲームなのですが、マンガやアニメなど様々なメディア展開がなされていましたので、ご存じの方も多いかもしれません。

 

このゲームの設定は「主人公のシュウ達をはじめとする少年少女達が自らの「影のドラゴン」を操り、世界を破滅へと導こうとするネネとの戦いを描く冒険物語」となっています。

ようは、自分の影がドラゴンに変身する世界で、それを自在に操って戦うバトルファンタジーです。

 

 

そのゲームの発売記念として実施されたプロモーションが、“BIG SHADOW PROJECT”でした。

 

その内容とは、“自分の影を巨大なドラゴンに変えてしまう”装置をつかって、渋谷のど真ん中のビルに影を投影し、自在に操り遊べるようにした、というもの。

 

 

BIGSHADOW

 

bigshadow

 

 

こんな巨大な影が突如、街中に出現したら、驚いてしまいますよね。

 

 

見るだけでも十分面白い施策ではありますが、本当に興奮したのはきっと、この影を実際に渋谷の街に投影して遊べた人たちでしょう。

 

自分の影が大きくなったり、姿かたちがドラゴンに変わってしまったりするだけでもついやってみたくなりますが、それ以上に参加者を掻き立てるのは、渋谷という公共空間を、自分の巨大な影がハックする(乗っ取る)ことで生まれる興奮だと思います。

 

 

“権威の開放・私物化”の法則でも取り上げたように、普段手の届かない“権威”に対して関与できるようになることで、強い参加欲求が生まれます

 

そしてさらに、それを「許可なしでやる」ことで生まれる“背徳感”とも呼べる興奮が、参加欲求をさらにドライブする。

 

 

 

こうした稀有な事例で説明してしまうと身近に感じられませんが、ようは、「夜中に学校のプールにこっそり忍び込む」みたいなシチュエーションって、永遠の願望としてありますよね。

 

 

orange

 

 

筆者も、4年前くらいに元中の同級生5人(※すべて野郎です)で、夜の学校のプールに忍びこんだことがあります。

(忍び込んで10分でセコムが発動したので、即刻立ち去りましたが…なんなんですかね、あの興奮。)

 

 

先ほどご紹介した“BIG SHADOW PROJECT”は、極端に言えば、この応用編ともいえます。

 

企業活動として実践するにはハードルもあると思いますが、強い参加意欲・行動を喚起する法則なのではないでしょうか。

 

 

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[ “乗っとりジャック”の法則|Point ]

普段関与が許されない権威に対して「合法的に乗っ取る」ことができないかを考える

乗っ取ることにより「背徳感」が感じられると興奮の度合いが増す

乗っ取った証として「大きな爪痕」を残せるとさらに興奮が増す

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以降では、この法則を念頭に置きながら、活用イメージを深めていきます。

 

 

 

[Chapter 2] 法則から事例を読み解く

「スニーカーを宣伝」するために街をジャックできないか?

 

次にご紹介するのは、とあるスニーカーショップが行った事例。

 

スニーカーショップ、といえど、扱っている靴はどのお店でもそんなに変わりませんから、なかなか差別化が難しい分野でもあります。

 

そんな中、“乗っとりジャック”の法則を活用して、他店とは違うワクワク感、もっといえばスニーカーを履く人たちが好きそうなストリート感とも呼べるようなイメージブランディングは可能でしょうか?

 

 

街をジャックする、ということだけでいえば、たとえばスニーカーショップのロゴが入った同じTシャツを来た人たちが、同じスニーカーを着て街を練り歩くという方法もひとつでしょう。

 

ただ、これだけでは既視感もあり、インパクトに欠けるかもしれません。

 

 

そこで、ベルギーのスニーカーショップ「Dope sneaker store」は考えました。

 

街中の標識に描かれている「人のマーク」に、自社のスニーカーを履かせられないか?

 

 

そうして実施されたのが、“Stickers”という施策。

来店した人にスニーカーのステッカーを手渡して、そのステッカーを街中の標識などの中に描かれている「人の足の上」に貼付けて写真で撮影し、インスタグラムにハッシュタグ付きで投稿すると、抽選でプレゼントがもらえるというキャンペーンでした。

 

 

sticker1

 

sticker2

 

sticker3

 

 

この試みは、地元の雑誌やブログでも取り上げられたそうです。

 

日本での実施は行政に怒られそうで難しいと思いますが、ストリート系ファッション好きの心に響くような施策だと思います。

 

 

 

では、スニーカー以外の商品ではどうでしょうか。

 

ユニクロが自社商品のプロモーションのため実施したWEBキャンペーン“UNIQLO LUCKY SWITCH”は、とても秀逸でした。

 

ユニクロはブログパーツとして、こんなボタンを配布しました。

 

 

uniqlo_lucky_switch

 

 

その機能とは、「このボタンを押すと、訪れているWEBサイトの画像をすべて“ユニクロの商品が安くなるオンラインくじ”に変えてしまう」というものです。

 

 

uni1

 

uni2

 

 

他社のWEBサイトすべてを、自社のためのくじとしてジャックしてしまう。

 

2009年に実施されたキャンペーンだったと記憶していますが、いま見てもとても新しく、素晴らしい施策だと思います。

 

 

 

[Chapter 3] ブレスト・トライアル

地球温暖化を訴える“シンボル”をつかって街をジャック出来ないか?

 

earth

 

 

地球温暖化。

 

このままでは立ち行かない、ということを誰もがわかりながらも、経済競争は留まることを知らず、人は環境に悪影響な生活を止めることができません。

 

誰かが声を上げないといけませんが、では「デモ行進」のような街をジャックする活動で人の心が動くのかというと、一部のラディカルな人たちだけが鬼気迫った表情で訴えかけるだけで、どこか物足りない気がします。

 

 

もっと、誰の心にも響く“地球温暖化を訴えるシンボル”を活用して、街をジャックするほどの大きな活動は行えないものでしょうか?

 

 

シンボルは、親しみがあり、できれば街にあるもの。

そして、できるだけ費用をかけずに注目を浴びるものがいいです。

 

そこでふと思い至ったのが、雪だるまでした。

 

 

wtr2

 

 

「気温が低い」ことの象徴である、雪という現象を活用したもの。

「キャラクター性」があり、誰もが作れ、つい目をやってしまうもの。

そして雪だるまは、「気温が高い」と溶けてなくなってしまうものでもあります。

 

 

もともと日本でも、雪がひどいと「こんな雪だるまをつくってみた」で街の一角を個人がジャックし、話題となる文化があります。

 

 

snow1

 

snow2

 

snow3

 

各地で確認された「すごい雪だるま」まとめ

 

 

で、あれば。

 

たとえば、街中に個性豊かな雪だるまをつくって「地球温暖化反対!」のプラカードを持たせる、というアイデアはどうでしょう。

 

 

 

 

 

3d render of a snowman in a top hat holding a blank placard

 

(イメージは、こんな感じでしょうか。)

 

 

さらにTwitterやinstagramで、 #voicefromsnowman みたいなハッシュタグをつくって。

 

各々が自作のすごい雪だるまを自慢しながら、街全体を「地球温暖化反対!」と声を上げる雪だるまでジャックしてしまう。

でも、暑いので、彼らは溶けて消えてしまいます。

 

自らの命を危険にさらしてまでも声を上げるその姿に、多くの人の心を動かしたり、メディアでもニュースになったりと、様々な可能性が感じられます。

 

 

 

…と、ここまで書いてきて、念のため海外の事例を調べたところ、なんと実は、ほとんど同じ施策がありました。。(苦笑)

 

“SNOWMEN AGAINST GLOBAL WARMING”というキャンペーンで、まさに上記で書いたように、雪だるまを作ってプラカードを持たせる、というアイデアだったようです。

 

 

 

 

 

 

実際にこうしてアウトプットや成果を見てみると、素敵ですね。

 

自分が思いついたものが既に実現されていた時には、「先を越されたか」というガッカリ感を感じますが、それと同時に「自分の考え方は間違っていなかった」という自信も少し、芽生えます。

 

 

このコーナーでは、引き続き、ブレストを通して法則の活用方法を磨いていければと思います。

 

 


 

※その他の類似施策は、以下URLにまとまっていますのでご参考ください。

アイデアの補助線(Pinterest)| 乗っ取りジャック の法則

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