社会にイイコトしたい

“諦めをプチできる化”の法則

2016年2月22日

 

様々な問題の中には、解決したい気持ちは十二分にあるのに、「どうにかしたいけど、どうにもできないのよ」と諦めざるを得ないようなこともあるのが事実。

 

抜本的に問題解決できる技術や手法は、まだ世の中にはない。

それでも、ほんの少しでいいから、何か自分にもできることがあればーーー。

 

そんなシーンや状態に着目し、諦めかけた希望を少しだけでも叶える“諦めをプチできる化”の法則を今回は取り上げます。

 

 

 

[Chapter 1] 事例から法則を読み解く

保育器に隔離されてしまった我が子。“ただ見てる”以外に母親ができることはないのか?

 

まずはインテルが開催しているウェアラブル・デバイスのコンテスト“Make It Wearable”から生まれたアイデア、“BabyBe”を。

 

 

漫画原作で、ドラマ化もされ話題となった「コウノドリ」をご覧いただいた方は、ご想像しやすいかもしれません。

出産直後に「未熟児」と認定されてしまった赤ちゃんは、そのまま保育器へと入れられてしまします。

 

母親は、生まれたばかりの我が子を腕の中に抱くことができず、最悪、そのまま命を落としてしまうこともあります。

 

 

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「コウノドリ」でも、我が子に触れられもしない母親の葛藤、そして「私にできることは何もない」という悲しみが描かれていました。

 

人の命に関わる医療の分野においては、母親といえど素人、安易に介入することは出来ません。

しかし、それでも、母親にできることは何かないのでしょうか?

 

 

そんな問いから生まれたのが、チリのチームが考案したウェアラブル・デバイス、“BabyBe”

 

生まれてすぐ保育器に隔離されてしまう未熟児にも、「母親の心臓の鼓動と息づかい」を届ける装置です。

 

 

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母親が胸元に抱える装置と、未熟児が横たわるベッドは遠隔で同期されています。

それにより、圧搾空気の動きで母親の心臓の鼓動と息づかいを再現し、未熟児は母親に抱かれているのと同じような感触が味わえるというもの。

 

実際に体験した赤ちゃんは血圧が下がったり、スヤスヤと眠るようになったという臨床結果もあるそうです。

 

 

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BabyBe1

 

 

 

できることがあるなら、何でもしたい。

でも、できることは何もなくて、ただ見てるしかない。諦めるしかない。

 

そんな母親の心境に寄り添って、小さなことだけど、でも確かな「できる」を生み出すこと。

赤ん坊にとってはもちろん、母親にとっても強く救われる解決策の呈示となるのではないでしょうか。

 

 

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[ “諦めをプチできる化”の法則|Point ]
「なんとかしたい、でも…」と諦めざるを得ない状況に着目する
「抜本的な解決」ではなく「緩和」できる小さな解決策を探る
既存のテクノロジーや習慣に「プチできる化」のヒントを得る
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[Chapter 2] 法則から事例を読み解く

「赤ん坊の夜泣き」を改善するには?

 

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多くの母親が悩んでいる、赤ちゃんの夜泣き。

いつまでも寝ついてくれず、夜中に泣き出しては母親が毎回起きて、抱っこしたりミルクをあげたり…。

 

その繰り返しで育児ノイローゼに陥ってしまう、といった話もよく耳にします。

 

 

この問題に対して、“諦めをプチできる化”の法則に着目しながら、何か解決策を講じることはできないか?

 

 

当然、赤ん坊ですから、そもそも“夜泣き自体をさせない”といった解決策は現実的ではありません。

母親にとってストレスなのは、「赤ん坊が泣き出すたびに夜起きて、あやしに行かなければならない」こと。

 

であれば、赤ん坊が泣き出しても「誰かがあやしてくれる」状況をつくりだせれば、この問題は大きく緩和します。

 

とはいえ、たとえば無機質なロボットに赤ん坊をあやすことはできそうにありません。

やはり、赤ん坊を最も安心させ、夜泣きを止めさせられるのは母親でしょう。

 

 

なので、こんなのはどうでしょうか。

 

赤ん坊が泣き出すと、耳元で母親の「子守唄」が再生される仕組みはつくれないかーー。

 

 

おそらくそんな発想から生まれたのが、ユニリーバのYumosという洗濯洗剤のサービス“Lull-A-Bear”です。

 

「歌を歌える」専用のクマのぬいぐるみと、Bluetoothで同期可能なアプリを開発。

赤ん坊が泣き出したのを察知すると、事前に録音された母親の歌声をクマが歌い出す仕組みになっています。

 

 

bear1

 

Yumoş – Lull-A-Bear from 4129Grey on Vimeo.

 

Lull-A-Bear

 

 

実際にどの程度効果があるのかまでは調べきれませんでしたが、悩む母親たちを救う可能性を秘めた、素晴らしいサービスだと思います。

 

 

 

[Chapter 3] ブレスト・トライアル

交通事故に遭っても“隠してしまう”子どもの異変に気付くには?

 

child

 

 

最近、こんなニュースを目にして衝撃を受けました。

 

 

子どもに教えて!交通事故にあったら、やっちゃダメなこと

 

 

子どもは交通事故にあったとき、つい『親に不注意を怒られる』と思って、『大丈夫』と言ってしまうことがあります

 

はねられたのに、慌てて降りてきたドライバーに「あ、すいません……」とか言って風のように走り去った

 

子供の交通事故の後遺症は、事故直後に現れるよりも、数日後あるいは数ヶ月後に徐々に現れることがある

 

 

このことを知って、もし自分に子どもがいたら…ととても怖くなってしまいました。

 

 

記事の中では、「お母さんは事故にあったことを知っても怒らない!お母さんがするのは心配だけ!と伝えること」だなんて書いてあるのですが、これだけではやはり限界があるように思います。

 

とはいえ、事故直後に子どもがパニックに陥って走り去ってしまう心境も想像できるので、子ども自身やドライバーの人に何かさせるのにも限界があるように感じます。

 

 

となると、次に考えられるのは、子どもに何か異変があった際、親が気付いて心配しやすくする方法

抜本的な解決策ではありませんが、早期発見は十分、問題の「緩和」につながります

 

“諦めをプチできる化”に沿うと、どのようなことが考えられるでしょうか。

 

 

 

交通事故、とはつまり、子どもに何かしら強い衝撃が加わること。

特に命にかかわるような衝撃であれば、日常生活の中では絶対に起こりえません。

 

であれば、たとえば、“子ども靴にジャイロセンサーを仕込む”という解決策が考えられるかもしれません。

普段の遊び程度で感知する重心移動には特に反応を示しませんが、「あらぬ方向から突然、強い衝撃が加わった」場合に限り、それを感知して親のスマホに「お子さんに何か強い衝撃が加わったようです」と通知するような仕組みです。

 

 

昨今、靴にもIoT化の波が押し寄せ、様々なハイテク機能が装備され始めています。

 

たとえば富士通は、靴底に圧力センサーや曲がりセンサー、さらに気圧や気温、加速度、ジャイロと多数のセンサーが内蔵された“センサーシューズ”を発表したり、

 

 

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転んだことも記録されるセンサー満載シューズで次世代行動解析:CEATEC2015

 

 

 

auは「足音で遊べるキッズシューズ」というコンセプトで、お散歩を冒険に変える“FUMM”の開発に着手しています。

 

 

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FUMM

 

 

これらの靴が、いずれ僕の例示した“事故の衝撃を親に通知する”という解決策を内包する可能性はあります。

 

ただ、必要以上にハイテク化することにお金と時間を投資してますので、一般家庭が普通に購入できるレベルのものになるのかというと、結構怪しい気がします。

そもそも、人は“ハイテク過ぎる”モノに対しては警戒心を抱き、「技術が人に合わせる」のではなく「人が技術に合わせる」という構図ができあがってしまうと、多くの人にプロダクトが普及することはないのでは、というのが僕の持論です。

(これについてはまた、別の法則のご紹介の際に触れたいと思います。)

 

 

であれば、段階的に靴をバージョンアップしていく。イノベーションを起こしていく。

その第一歩として、すべての親が「心配=必要に迫られて」靴を買い求めたくなるような機能から始めるのが普及の鍵だと睨んでいます。

 

あくまで“事故の衝撃を親に通知する”機能をメインとして、サブ的な機能として例えば「足や身体の傾きを計測してランニングフォームを小さい頃から補正できる」といった機能を打ち出すような子ども靴。

 

 

 

技術のことをよくわかっていない人間の、無責任なアイデアであることは十分承知ですが…

 

交通事故に遭った子どもを守るためにも、素敵なアイデアが実現されるのを心待ちにしたいと思います。

 

 


 

※その他の類似施策は、以下URLにまとまっていますのでご参考ください。

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