商材の価値を再認識させたい

“後悔先に立たす”の法則

2016年2月16日

 

「後悔先に立た」ではありませんので注意してくださいね。

 

今回ご紹介するのはその逆、後悔を先に感じさせることで、いま現在の重みを痛感させる“後悔先に立たす”の法則です。

 

 

最近話題の原作パターンのひとつ、“後悔”を起点とした物語の強さ

 

古くからあることわざの一つに「後悔先に立たず」というものがあります。

 

こちらについては、あらためて説明する必要もないでしょう。

人生には後悔が付きもの。だからこそ、後悔のない選択をしたいものです。

 

この“後悔”という感情、あるいは状況が、昨今話題となっているドラマや映画の設定でちらほら見られるなと気になっています。

 

 

たとえば、漫画原作も非常に好調で、今年3月に映画も公開される『僕だけがいない街』という作品。

 

 

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既にご存じの方も多いと思います。

とはいいつつ、ネタバレを避けるため、あくまで物語の設定部分にだけ触れますが、

 

物語は、売れない漫画家の藤沼悟が、自分の意志とは無関係に時間が遡る【リバイバル】という特殊な現象に巻き込まれ、バイト仲間でのち悟にとってかけがえのない存在となる愛梨の力を借りながら、「現在」で殺害された母、 そして小学5年生だった頃の「過去」 に連続誘拐殺人事件の犠牲となった同級生をそれぞれ救うため、大人のマインドを持ったまま小学生の「過去」をやり直し、二つの殺人事件の謎を解き明かしていく全く新しい感覚のミステリー だ。

『僕だけがいない街』映画公式サイトより)

 

現在、という時間の流れの中で起きてしまう出来事に後悔し、過去を行き来することで、現在を変えようとする物語。

 

 

あるいは、既に映画も公開され話題となった『orange』を引き合いに出してもいいでしょう。

 

 

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「高校2年生の春。10年後の自分から、手紙が届いた。そこに書かれていたのは、大切な人の未来が無いということ。」その切ない世界観だけで誰もがハッとする、少女漫画の枠を飛び越えた新たなる青春純愛ストーリー「orange」。“あの時こうしていれば、この後悔はなかったかもしれない”という、生きていれば誰しもの頭に浮かぶそんな思いと、原作者・高野苺が織りなす「未来の自分から手紙が届くファンタジックな世界観」そして「大切な人を失わないために“今この瞬間”をもがきながら奮闘する」という優しく心動かされるストーリーラインが共感を呼び、年齢・性別に関係なくファン層を拡大。

『orange』映画公式サイトより)

 

こちらは10年後の未来の自分から、後悔を消したいという一心で手紙が届くという物語です。

 

 

『僕だけがいない街』と『orange』に共通していえるのは、いま現在に対する強い後悔から物語が始まっているということ。

 

そして、「過去に戻れる」「過去に手紙を出せる」といった“過去を操作できる”というSF的な設定を盛り込むことで、現在の後悔を帳消しにできるチャンスが叶うか否かを最後まで追いかけさせる、という展開の面白さを付与している点。

 

 

今回の“後悔先に立たす”の法則では前者の共通点にフォーカスを当てていますが、上記2作品からもわかるように、“未来の後悔”というものを先に知ることができるのなら、人は今を大切に生きられるはずですよね。

 

それができないから、人はいつの時代でも後悔を悔やみ、タイムマシンといった過去をやり直すための技術を空想するわけですが…

想像上の物語の中であれば、“未来の後悔を先取り”させるストーリーを描くことで、いま現在の重みを色濃くあぶり出すことができます。

 

 

少し話は逸れますが、この“後悔”というトリガー、現代社会ではかなり強い効力を発揮します。

なぜならば、多くの教育現場や社会生活では、「足し算思考ではなく“引き算”思考」が重視されているためです。

 

どういうことか。

 

たとえば学生生活を思い返していただければわかりやすいですが、「人と違うことをする」「目立った行動をとる」というのは、かなりハードルが高いですよね。

 

なぜなら、そうすることで、他の生徒からは「変な奴」「うざい」と思われる“リスク”があるから。

日本では、“人と同じ”が美徳とされる同調圧力が、学校でも職場でも強いのは実感の通りです。

少し前に「KY」なんて言葉が流行りましたが、いまなおその風潮は根強いと思います。

 

何か行動を起こすということは、プラス点(=足し算)の積み重ねになるというよりも、マイナス点(=引き算)がついて自分の居場所を失うリスクになりやすい。

いうなれば、人にはあらかじめ満点が与えられていて、どれだけ引き算されずに過ごせるかを試されているような感覚。

 

そうした環境で育った元・子どもたちが徐々に人口のウェートを占めるにつれ、「後悔したいための〇〇」といった“未来のマイナス点を回避する”指南書や、「✕✕で絶対トクするための30の方法」といった“確実にプラス点を稼げる”テクニック系の書籍が増え始めたように思います。

 

 

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だからこそ、「現在を後悔し、過去に遡って現在を変える」類いの物語が一定の人気を誇るのではないでしょうか。

 

ここに、今この瞬間が持つ価値を再認識させるためのヒントを垣間見ます。

 

 

さて。先にご紹介した『僕だけがいない街』『orange』では、あくまで“過去を変えられる”という設定で作りこまれた物語でした。

 

では、過去を変えることが出来なければ ―――?

 

そんな、悲しい事実をまっすぐに突きつけた秀逸なCMを次ではご紹介します。

 

 

 

車同士が追突する瞬間、時が止まる。それでも“救われない”という結果が突きつける残酷さ。

 

以下は、たった1分間の動画に詰め込まれた、とても密度の濃い物語。

ぜひ、最後まで観てみてください。

 

ニュージーランドの交通安全啓発団体「New Zealand Transportation Agency」が制作したCMです。

(最後の数秒、閲覧注意です。)

 

 

 

 

物語は、ドライバーの不注意により、車同士が衝突する直前から始まります。

 

もうだめだ、と思う間もなく目を瞑りたくなる瞬間、時が止まる。

そしてドライバー同士が車から降りてきて、なぜ注意を怠ったのかとお互いを攻め合います。

 

「申し訳ない、曲がれると思ったんだ」と謝る父親。

「急に出てきたら止まれないじゃないか」と責めるサラリーマン。

「頼むよ、息子を乗せてるんだ」と頭を抱えて悩む父親。

「スピードを出し過ぎていたんだ。どうにもできないよ。」と謝るサラリーマン。

そしてお互い、車の座席へと戻っていきます。

 

よくある話ならきっと、お互いが十分に後悔したあと、“事故をなかったことにできる”ような救いの手が差し伸べられるのでしょう。

 

しかし、このCMの最後はとても残酷です。

このあと起こるであろう惨事を想像させ、嫌というほど“後悔先に立たす”状況で苦悩させたにも関わらず、結局最後は、救われずに車同士は衝突してしまう。

 

 

このCMの素晴らしいところは、演出の妙もさるとこながら、“後悔したところで、現実は変えられない。変えられないんだ。”というメッセージを、逃げずに強く発している点でしょう。

公開10日で600万再生を記録し、現在の再生数は1000万回以上にものぼりました。

 

このCMをみて、特に子どもを持つ親ならば、安全運転を心掛けない人はいないでしょう。

「いま現在」という当たり前が持つ価値を、強く大切にしたいと思うからです。

 

 

2009年だったでしょうか、乳がん検査の啓発で有名なピンクリボンのスローガン大賞に選ばれたコピーも、とても印象的でした。

 

「行くべきだった」も悔しいけど、「行かせるべきだった」も悔しいよ。

 

たった一行ですが、上記CMと同じ構造を用いて、とても強いメッセージを投げかけていることがわかります。

(さらに、“二面性の対比・可視化”の法則も活用することで訴求力を強化しています。)

 

 

 

最後の落とし方はさまざまですが、“後悔先に立たす”の法則をフックに、価値を再認識させられる可能性を感じ取っていただければ幸いです。

 

 

2chが生んだ名言のひとつに、

 

10年後にはきっと、せめて10年でいいから

戻ってやり直したいと思っているのだろう。

今やり直せよ。未来を。

10年後か、20年後か、50年後から

戻ってきたんだよ、今。

 

というものがありますが、そうした思いを常に、心のどこか片隅に置いて生きていきたいものですね。

 

 


 

※その他の類似施策は、以下URLにまとまっていますのでご参考ください。

アイデアの補助線(Pinterest)| 後悔先に立たす の法則

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